「結城、お前まさか…」

清宮も私と同じ考えに思い当たったらしく、目を大きく見開いている。

「そうだよ。清宮の考えていることは正しいと思うよ。」

結城のどこか落ち着いた答えに清宮が結城を背中から羽交い締めにして自由を奪う。

そして、私に静かにたずねた。

「神崎、斬れるか?」

「あ、当たり前じゃない!斬れるわ。」

本当は、怖かった。

妖刀の柄を握る手がカタカタ震える。

人の姿をしているのに斬れるわけないじゃないの!、心が叫ぶけれど言葉にはできないし、してはいけない。

その時だった。

「止めて、お願い…やめてぇぇぇ!」

言葉を失い不気味さを感じさせる体育館内を高い悲鳴が貫いた。

恵の声だとすぐに気づいた私は、声の方向を素早く振り返った。