私は、流れ出した血が腕をつたい、畳をポタッポタッと紅く染めるのを静かに見つめた。

「まだかっ、小夜っ!」

外から聞こえた祖父の低くしわがれた声に現実に引き戻される。

「今、行きます。」

祖父に短くできるだけ平静を装って返事をする。

〝妖刀 新月〟をそのままに、一つ上の戸棚を開け、〝妖刀 望月〟を手にすると私も外に躍り出た。