「せんせーはどこからきたのー??」
「背高いね!」
「かっこい~」

ガヤガヤ...

女児童の黄色い声を背中に黙々と読書に勤しむ。
私の名前は「桐谷 紫乃亜」。ごく一般的な小学6年生。

今日はいつにも増して女子のテンションが高い。まぁ、当たり前か。新しい先生が来たらそうなるでしょうね。それに容姿端麗ときたら尚更。

ちらり、と横目で新しく赴任してきた副担任を見る。黒いスーツに長身で、茶髪の男性。当たりよさそうな笑みを携え、ただニコニコと笑っている。

その周りには待ってましたと言わんばかりにクラス大半の女子児童が群がり、沢山の質問を投げかけている。

ふと、1人の女子児童と目が合った。
一瞬こちらを睨み、すぐに視線を先生へと戻す。大方、『私』の事を話すつもりなのだろう。あの副担任とやらに。








私は先天性色素欠乏症と言う遺伝子疾患を持って生まれた人間だった。俗に言う" アルビノ"と言うモノだ。

生まれつき黒ではなく白い髪、赤い瞳を持って生まれる。肌も病的なまでに白い。治そうにも、遺伝子レベルの疾患なので、なかなか治せない。


そんな周りとは違うニンゲンが一般社会に出されたらどうなるのか?



そんなもの、考えなくても想像がつく。
所謂、差別というものを受けるのだ。


「アレは僕らとは違う。」「異常だ。」「気持ちが悪い」
「まるでバケモノみたい」


いつの時代でもこのルールは変わらない。誰だって自分と違うものは排除したがるのだ。


道徳の心に乏しい小学生なら尚更。


無論、私も例外ではなく差別を受けていた。「いじめ」と呼ばれるものだ。

...とはいってもまぁ、今に始まったことではないしそこまで辛くはないけれど。