決して幸せな環境で育ったとは言えなかった。

次々家に来る知らない男性。
顔すら覚えていない父。
機械のように飲酒をする母。
耳を塞いでただうずくまった毎日。

未熟な幼子はただただ心を閉ざし、その環境を享受した。



『こんなにつらいなら、こころなんかいらない

もうしあわせはもとめない


" ばけもの"のわたしは、きっとしあわせにはなれないから。』





小さく滴が落ちた。