愛言葉(短編)

「せっかくきてくれたのにごめんね。」

「いえ。大丈夫です。」

「あのね。稀々菜ちゃん落ち着いて聞いてね。」

「はい?」

「宏、昨日の夜にね、心臓発作を起こして今入院してるの。」

「えっ。」

「宏は稀々菜ちゃんにそんな話してなかったんかもしれやんね。心配かけたくなくて。」

「稀々菜ちゃんはなにかないの?心配かけたくなくて隠してること。」

「あります。」

「宏には言わないから教えてくれる?」

「はい。」

「ありがとう。」

「私は、心臓病なんです。昔から何回も入退院を繰り返していました。でも、最近は調子が良くて、入院はしてませんでした。宏も心臓病だったんですね。」

その時、涙が溢れた。

「そっか。稀々菜ちゃんも心臓病だったんだね。宏は、ずっと暗かったの。病気で何も出来ないから。でもね、稀々菜ちゃんと会ってからはすごく明るくなった。ありがとう。宏となかよくしてくれて。」