桜楽は最初は困っていたけど、少しすると"じゃあ、お願いします。"とおとなしくなった。



それから、無言の気まづい空気の中桜楽の家に着くと俺は早歩きで帰った。


「じゃ明日な、桜楽!」

春を通り越そうとしている時期だな、とぼんやりと思った。


「────────……ずるい、よ」

だから、真っ赤に染まったあのこの顔も、つぶやきも俺は知らない。