「――…ん?」
3限目の授業は先生がいなくて自習。
いつものように後ろの席の雅ちゃんと話している時。
制服のポケットに入れてあるスマホが震えた。
「ん?」
「なんか、LINE?」
雅ちゃんの言葉に疑問形で返しながらスマホを見ると侑京からのLINE。
やっぱり、そう思いながら内容を読む。
「えーっと…。昼休みに、図書室来るべし…?」
何これ、命令?
首を傾げていると「何?」と聞かれ、画面を雅ちゃんの方に向けた。
画面を見た瞬間もう!と声を上げる。
「今日誕生日だからでしょ!」
「えー? でも教えてないよー?」
「それでも何かしら知るでしょ」
「うーん…そう言うものなのかなぁ……」
唸るあたしに雅ちゃんはうんうん頷くだけ。
なーんか適当じゃないですか…?
ムスッとするあたしの顔を見て吹き出し、口を開いた。
「凌ちゃん容姿端麗なのに、莉人くんと侑京くんとしか付き合ったことないんでしょ?」
「ん?うん。 急に何?」
「いや、普通はこんな可愛かったらもっと経験多いだろうから…」
「んなっ! か、可愛くないよ!?」
慌てるあたしを見て雅ちゃんはため息をひとつ着く。
「女の雅にそんな反応されてもねー」
「はい?」
「周りの男子は見てるだけでウハウハだろね」
疑問符を浮かべるあたしに雅ちゃんは苦笑して何でもないと言った。
「あ、それより!」
「へっ?」
話が終わったと思ってたあたしは雅ちゃんの声にビクついてしまう。
「侑京くんのとこちゃんと行きなよ?」
「お昼休みに図書室でしょ? もちろん!」
あたしは雅ちゃんにグッと親指を立てる。
もし侑京が誕生日をお祝いしてくれるって言うのならそれは本当に嬉しいことだもん。
行かなきゃ分からないから絶対行く。
何より、侑京からの連絡を無視したくはないもんね。
「誕生日祝いだったら何くれるんだろうね〜」
楽しそうにそう聞いてくる雅ちゃん。
「うーん…侑京から貰えるならなんでも嬉しいけど…」
「はぁ〜これだからリア充は…」
「妬まないで下さーい」
「はいリア充爆発して下さーい」
なんて言いながら笑い合う。
だけど、本当になんでもいいんだよ? みんなから貰えたプレゼントもなんだって嬉しいから。
あたしの事を考えて選んでくれたんだなって思って嬉しかった。
そう思うように、侑京があたしの事を考えてくれるものならなんだって嬉しいよ。
だけど誕生日知らないだろうから……。
あ、でもあたしは侑京の誕生日知ってる。あれ? なんで知ってるんだっけ?
……あ、そうだ。優奈に聞いたんだった。
あ、でもそうなると、侑京も優奈に聞いてる可能性もあるよね…。
「……ないか…」
都合良い期待をしないように頭を振った。


