それが君の願いなら。



雅ちゃんに言われて開けてみれば、


「ピアス!」


あたしの大好きなブランドのピアスだった。


「欲しいって言ってたよね」

「言ってた! え、でもこれ、高かったんじゃ…」

「誕生日だしそんなの気にしなくていいのー!」


そう言って優しく微笑んでくれる雅ちゃんにあたしは勢いよく抱き着いた。


だって、こんなの嬉しすぎるよ〜!


学校ではピアスは校則違反になっちゃうから普段は付けられないけど、休みの日とか出掛け時には絶対付ける!


「本当にありがとう!」

「どういたしまして。今日はおめでとう」

「えへへ。ありがとー!」


表情筋が緩みっぱなしのあたし。


だけどそれはみんなが本当にあたしの事を考えてプレゼントをくれるから仕方ないんだよ。


嬉しいんだもん。


「…あれ? 侑菜ちゃんは?」


樹英の言葉に教室内を見渡せば確かに侑菜がいない。


一番最初に見てから忽然と消えちゃった…? え、魔法?


バカなことを考えるあたしの耳に侑菜の声が届いた。


「梅原さーん」


侑菜の声に教室の出入口を振り向けば両手で抱えるほどの四角い箱を持っていた。


「誕生日おめでとー」


そう言いながら侑菜があたしの前の机に箱を置く。


そしてその箱の中身は侑菜手作りのチョコレートケーキ。


「わっ…、美味しそう…!」


あたしの言葉に侑菜はふふんと得意気に笑った。


「まぁねー!凌のために腕奮ったから!」

「侑菜ぁ〜! 好きっ!」


とびっきりの笑顔を見せれば侑菜も嬉しそうに笑ってくれる。


「ねぇ、このケーキ今食べるの?」


なっちゃんの言葉に侑菜と顔を見合わせて首を傾げた。


「「どーする?」」


あたし達の言葉に3人はぶっと吹き出して。


「朝からケーキとか!」
「無理じゃなーい?」
「家庭科室の冷蔵庫借りよ!」


と口々に言った。


確かに、朝からケーキは流石に無理かも…。


侑菜に悪いと思いながら、家庭科室の冷蔵庫を借りれるか聞く以外方法なさそうだね。


「あ、じゃあ樹英聞いてくる!」


樹英は笑いながらも家庭科の先生のところに走って行ってくれた。


本当に楽しくって仕方ない。


こんな誕生日自体久しぶりだし、何よりサプライズって言うのが嬉しい。


サプライズはするばかりであまりされ慣れていないあたしは驚くばかりで。


「樹英いないけど、みんなありがとう!」


あたしはみんなに改めてお礼を言った。


だって嬉しいもん。楽しいもん。本当に、幸せだって思うもん…。


お礼を言ったあたしに侑菜があっ、と何かを思い出したようにスマホを取り出した。