嬉しさのあまり、頭痛も少し良くなった気がするよ。
2人も嬉しそうに笑ってるから、なんだか本当に幸せな気分。
チャイムが鳴り、入って来た女の先生に不思議がられたけど、全然気にしない。
――本当に、ありがとう。
もう一度2人に笑って、あたし達は席に着いた。
「凌さん、教科書出してる?」
嬉しいけど授業はやる気のないあたしに先生は聞いてきた。
この先生優しいからまだ良かった。
担任だったら面倒臭いことになってたかもしれないもんね…。
「んー、出してない」
「ほら、早く出して!」
仕方ない、と言わんばかりに溜息を着きながらあたしは教科書を出した。
けど、やっぱり何もしたくなくて。 机に突っ伏して顔だけ窓の方へと向けた。
先生の溜息が聞こえた気がしたけど、なんか、どうだっていいや。
2人のおかげで少しは気が楽になったけど、授業が始まると話は別だもん。
外はまだ大雨。いつまで降るのかな…。 小さい頃、雨が降るのは神様が泣いてるからだと聞いたことがある。
誰に聞いたかなんて覚えてない。お父さん?お母さん? …分かんないけど、あたしはあの言葉今でも信じてる。
理由なんてないけど。 なんとなく、本当にそうなんじゃないかなって、今でも思ってる。
そんな事を考えながら窓の外を見てると、廊下から話し声が聞こえてくる。
授業中なのに、誰だろう?
そう思うけど、特に興味なんてない。きっと他のクラスが移動教室とかなんかなんでしょ。
そう思ってた時、1年の色を指す上履きが開いてる教室の扉の向こうから見えた。
そして、廊下を過ぎていく3人の男の子の中の1人と目が合う。
その男の子は、吸い込まれそうなくらい綺麗な黒い目をしてた…。


