それが君の願いなら。



「じゃあね、凌、莉人くん」

「うん、またね!」

「バイバーイ」


侑菜に手を振り莉人くんと手を繋いで帰る。


今日はそのまま莉人くん家に行くけど、最近はほぼ毎日侑菜と3人で帰ってる。手は繋いだままで。


「ねぇねぇ、莉人くん」

「んー?」

「今日帰ったら悠(ゆう)ちゃんいる?」

「あーまだ帰ってないかも」

「えっ! …あ、今日習い事の日かー」


2人で他愛もない話をしながら歩く。


ちなみに悠ちゃんは莉人くんの弟。あたし達の4つ下の小5。


莉人くんに似て可愛い顔してるのに性格は結構捻くれてる。


だけどたまに甘えてくるところが本当に可愛くって…。


ついつい甘やかしちゃうんだよね。


「今日真湖(まこ)ちゃん達来んの?」

「お母さんは来ないだろうけど、お父さんは来ると思うよ」

「あー尚(なお)くん来んのか…」


あからさまな顔に声に出して笑ってしまった。


「部屋に行けば問題ないじゃん!」

「んー、まぁ」

「それにお父さんだけじゃなくて恵五くんもいたらもっと厄介だよ?」

「うっ…メンドくせ……」


莉人くんの言葉に笑いながら帰ってすることを話す。


まずは勉強して、それからご飯だよね。


指折り数えていると莉人くんが「そう言えば」と口を開く。


「着替え持って来た?」


その言葉にハッとしてテンションが落ちる。


「あーあ」

「準備してたのにぃ〜!」

「自業自得〜」


お風呂入らせてもらおうと思ってたのに…! 着替え忘れてくるなんて最悪だ…。


だけどそこで閃く。


「…お父さんに荷物持って来てもらえば問題無いないよね!」

「尚くんが良いって言ったらの話な」

「……そこなんですよ…」


あたしはもう一度ため息をついた。莉人くん家はもう目の前。


学校から歩いて15分程の場所にある莉人くんは少し前に建てたばかりの綺麗な家。


玄関の扉を開け無言で入っていく莉人くんの後ろから「お邪魔しまーす」と入る。


「あぁ、おかえり〜」

「悠斗(ゆうと)は?」

「まだ。もう少ししたら帰ってくるでしょ」

「ん、勉強して来る」

「凌も?」


莉人くんと話していた麻衣(まい)ちゃんが急にあたしに聞くから反応が遅れてしまった。


「っえ、あ、うん!」

「頑張って」

「ありがとう」


麻衣ちゃんの言葉にやる気を出しながら莉人くんの部屋に向かう。