それが君の願いなら。



今まで我慢していたものが一気に溢れ出す。


誰かをもう一度好きになれるか不安だった。莉人くん以上に誰かを好きになるのが怖かった。


あの頃のあたしは、誰より、何より莉人くんが好きで。大切で。


きっと、侑菜よりも莉人くんを選んでしまうような人間だった。


そんなあたしを一度も見放さなかった侑菜。苦しい時、悲しい時、ツライ時。いつだって侑菜は手を差し伸べてくれて。


「みんな…ありがと…っ…」


侑菜だけじゃない。樹英もなっちゃんも、学校は違えどいつだって真剣にあたしの話を聞いてくれてた。


雅ちゃんは高校からの友達だけど、話し終えて泣きそうになってたあたしの頭を撫でてくれた。


本当にありがとう、みんな…。


――いつか、侑京にもちゃんとこの話をしなきゃいけない日が来て。


あたしはその時泣かずにいられるのかな。


侑京の前で莉人くんの事を話しながら泣くなんて嫌だよ。


……ううん。 本当は莉人くんの話もしたくない、と言うよりは怖い。


どう思われるのかな。今そんな話する?って怒られちゃうかな。


だけど聞かれたらちゃんと答える。全部話す。


隠し事は出来ればしたくないから。


侑京がどう思ってるかは分かんないけど、あたしは侑京を信じてるから、何も隠し事はしたくないよ。


「侑京には聞かれたら話す。自分から切り出す事はまだ怖くて出来ないけど、聞かれたらちゃんと答える…全部話す……」


決心してそう言ったあたしを見る4人は静かに微笑むだけ。


それだけでも充分有難い。


あたしもみんなに笑い、腕時計を見ようとした時。


「凌」


「侑京!」


「ごめん、遅くなった」


申し訳なさそうに教室を覗く侑京の元へ駆け寄り、「大丈夫だよ」って笑う。


さっきまで話すことを怖がってたのに、今こうして侑京を目の前にするとなんだか安心して抱き着きたくなった。


じーっと見つめるあたしに「ん?」と首を傾げる侑京。


あたしが4人を盗み見ると、何事もなかったかのように話している。


そんなあたしに「帰る?」と聞いてくる侑京。頷く前に近くの席にスクールバッグを置く。


「――侑京っ…」


ギュッと抱き着いたあたしに、侑京の呼吸が一瞬短くなるのが分かった。