それが君の願いなら。



寧ろあたしが動揺してるみたいで余計に妖しく見える、かも…。


ど、どうしよう…。


早く樹英に帰ってきて欲しい。切実に。そう思ってても願いは届かないし…。


あ、こうなればアレしかない!


「ちょっとあたしもトイレ行ってくるね!」


そう告げたあたしは逃げるようにトイレへと急ぐ。


後ろからなっちゃんの「逃げるなー!」って声が聞こえてきたけど、知らない!


だって本当に何もない。何かあってもいいのにって言うくらい何もない。


ただ、桜の花が好きで、散ってる桜を見てると無性に泣きたくなっただけ。


本当に、ただ、それだけなんだよ。


トイレの前に小さく溜息を着くと中から樹英が出て来る。


「あれ、凌ちゃん。どうしたの?」


「なっちゃんと侑菜から意味不明な質問攻めに合って逃げて来た…」


力なくそう言うあたしに樹英は可愛らしく笑った。


「あはは。2人のそう言う話はすごいもんね。」


「ホント、あれは疲れる。とりあえずトイレ行って戻るね」


「うん、お疲れ様だね」


そう言って2人の元へ戻って行く樹英を見送った。