それが君の願いなら。



逃げたいとこだけど、もうすぐチャイムが鳴りそうだし…。 このまま教室を出たところですぐに捕まっちゃいそう…。


それに。


「……みんなのおかげだもんね。正直に全部話すよ…。」


そう言ったあたしに3人はニヤリと意地悪い笑顔を浮かべた。


そしてあたしは質問攻めに合う…。




「えぇ!? じゃあ結局最初に告ったのは侑京くんって事ー!?」


「ちょ、声! 抑えて!」


「ごめんごめん。つい興奮しちゃって…」


反省の色を全く見せずに笑いながらそう言うなっちゃんだけど、樹英と雅ちゃんもさっきからずっと笑ってる。


何がそんなに面白いの? って疑問になるくらい。


恋バナだからかな、って思ったりもするけど、なんか笑顔が怖い気が……。


「まぁ、あの侑京くんがねーって感じはするよ」


雅ちゃんの言葉にあたしは「ん?」と首を傾げる。


「だって、性格以外は完璧な侑京くんでしょ?」


「性格以外は、って…失礼だなぁ……」


ムスッと答えるあたしに小さくごめんと謝りながら話を続ける。


「性格以外って言っても、クールだとか冷たいとか。あ、あとシャイだってよく聞くよね」


「あぁー、確かにシャイだし冷たいかも」


雅ちゃんの意見に同意するなっちゃん。そこまで有名だって知らないあたしは今更ビックリ。


ここまで有名だったんだね…。


あ、でも。あたしも有名って言われたような…?


「気のせい…?」


「何が?」


あたしのつぶやきに樹英が質問して来たけど、「なんでも」とだけ答えておいた。


だって自分から「あたしって有名なの?」なんて聞くのはちょっとね……。


自意識過剰にも程がある。


それに、侑京が思い付きで言ったのかもしれないし。


そう思って3人の話を聞いた。


「でも2人共見るからに両想いだったもんね〜」


「ねー。くっつかないとは思ってなかったもん」


「だよね!」


なっちゃんと雅ちゃんの言葉にあたしは焦るばかり。


だって2人の話を聞いてたら、侑京があたしの事を前から好きだったみたいに聞こえるんだもん…。


それに、あたしの想いが周りにダダ漏れだったみたいにも聞こえるし……。


それは納得いかない。