今言ったのは誰？ あたし？
……違う。侑京くん、だ。
訳が分からなくて。何も言えない自分が情けなくて。……侑京くんの言葉が、信じられなくて。
「先輩。俺と、付き合ってくれますか…？」
侑京くんの言葉に、自然と涙が溢れた。
「ぅ……っ、は…いっ……」
静かに返事をしたあたしに侑京くんが近付いてくる。
何これ…。嬉し涙って嬉しい時にはいつでも出るものなの？
もう、分かんない……。
「――っ！」
泣き続けるあたしの頬に侑京くんの綺麗な手が触れる。
条件反射で肩が上がってしまったあたしに、「嫌ですか？」と聞いてくれる。
侑京くんはやっぱり、優しい人だね…。
「嫌じゃ、ない…です…」
そう呟いて顔を上げれば、嬉しそうに、愛おしいものを見るようにあたしを見てくる。
それが嬉しくて。幸せで。涙がどんどん溢れる。
「…先輩って、泣き虫ですか？」
そう言いながらあたしを優しく抱き締めてくれる侑京くん。
「違っ、う…よ。だって…嬉しい、から……」
「泣く時は、俺の横で泣いて下さい」
優しい言葉に涙が止まらない。泣き虫…なのかな…。分かんない。だけど、侑京くんがそう言うなら、そうかもしれないね。
「先輩」
「……はい」
「凌先輩」
「…はい、？」
「……凌」
「……っ…はい…」
「ふふ。 俺、世界で一番……人生で一番今が幸せです。」
「あ、あたしも、です…」
２人顔を見合わせ小さく笑う。
本当に幸せで。 この時間がずっと続けばいいと、本気で思う。
それくらい侑京くんと一緒にいる時間が愛しくて、幸せで堪らない。
