「終わったー!」
「やっと昼か〜。学校長ぇ〜。」
4限目終了のチャイムが鳴り、周りから色々な言葉が飛び交う中、あたしだけが放心状態。
「おーい。凌ちゃーん。終わったよー。」
「……えっ、あぁ…うん……」
ボケっとしていたあたしは雅ちゃんの言葉にハッとする。
あぁ、どうしよう…。遂にこの時が来てしまった…。
「ヤバイ…緊張で心臓が潰れそう……」
「ぷっ。凌ちゃんでもそんなに緊張とかするんだ!」
制服の上から心臓を抑えるあたしを見て雅ちゃんが笑う。
……心外だな。 あたしだって人間なんだから、人並みに緊張だってするんだよ。
雅ちゃんを睨み付けながら、ふと疑問に思ったことを口にした。
「ねぇ、あたしって何時くらいに研修棟の方行けばいいの?」
「…………」
「ちょ、百木(ももき)さん!?」
「さーて、お弁当お弁当〜」
「も、百木雅ぃ〜!」
半泣き状態のあたしを見て雅ちゃんは静かに「まぁ、頑張れ」と行って逃げて行く。
……あぁ、やっちゃった…。 絶対時間言ってないよ、アレ。
盛大な溜め息がついつい漏れる中、あたしは急いで手を洗いお弁当を広げた。
だって、早く食べて少しでも早く研修棟の方へ向かわないと。
あたしが侑京くんを呼び出した事になってるだろうから、相手を待たせるわけにはいかない。
侑菜にはあとから話そう。
1人教室で食べるお弁当は初めてで、なんだか寂しく感じた。
だけど今日はそれより心臓が痛くて苦しくて、本当に食欲がない。
「はぁ……」
1人溜め息を漏らしお弁当をしまう。
制服の裾を捲り腕時計を見るとまだ12時56分。
13時にもなってないんだ…。 いつもならお弁当を片付ける時は大抵13時を回ってる。
「はぁー……」
2度目の盛大な溜息をついた後、腹を括って教室を出た。


