それが君の願いなら。



――とは言ったものの。


どうやって侑京くんを呼び出そう…。


そんな事を考えていたせいか、授業終了のチャイムが鳴っている事にも気が付かないでいた。


「凌ちゃーん。授業終わったよー」


雅ちゃんの言葉で現実の世界に戻ってきたものの、どうしようか悩む一方。


「雅ちゃん…どうしよう……」


助けを求めるあたしに「いつ言うのか?」と、全てお見通しな様子。


頷いて見せればうーんと、自分のことのように一緒に悩んでくれる。


有難いなぁ…なんて思いながら、やっぱり頭は侑京くんの事ばかり。


「あ、LINEは? 交換してなかったっけ?」


「してない。番号もアドレスも知らない」


あたしの答えに「どうしよっか…」と悩み始める雅ちゃん。


本当に面目ないです。


一番最初に浮かんだ方法は直接教室に行くってことだった。


だけど、2年のあたしがまた教室に行くと色々噂になっちゃいそうだし…。 それでもし侑京くんに迷惑がかかったらって思うと実行に移せない。


うんうん唸るあたしを見て雅ちゃんが小さく「あっ」と漏らした。


「ん? 何か思い付いたの?」


「思い付いたって言うか、凌ちゃん。優奈ちゃんの存在忘れてたでしょ?」


「あっ! 優奈! ……忘れてた。」


雅ちゃんの言葉で大切な従姉妹の存在を思い出す。


そうだ。優奈がいた。


だけど一つ問題が…。


「…優奈、協力してくれるかなぁ……?」


「あー、でも、雅が言えばイケそう…じゃない?」


「うーん……」


2人顔を見合わせながら再度悩む。


優奈とは年も近いし仲が悪いわけじゃない。どちらかと言えば仲良い方だとあたしは思ってる。


だけど、学校ですれ違ってもお互い何もしないし言わない。


あたし達が従姉妹だって知ってる人も少ないはず。


「大丈夫かなぁ…」


嘆くあたしを見て雅ちゃんは、


「普段なら絶対ヤダけど、告白となれば話は別。 雅が優奈ちゃんに言ってあげる」


そう言ってくれた。


「えっ、いいの…?」


「本当に今回だけね。 だから頑張ってよ?」


雅ちゃんの言葉にあたしは満面の笑みでお礼を言う。


「っありがとう! 頑張ります!」