それが君の願いなら。



あははー!と笑ってるなっちゃんを見てるとあたしまで吊られて笑っちゃう。


昔から明るくて。でも、寂しがり屋で、少しヤキモチ焼きで。


樹英や侑菜と同じ幼なじみ。


だけど昔は3人の中で一番仲が悪くて、毎日のように口喧嘩してた。


いつからかな。こんなに仲良くなったのは――…。


気付けばいつも一緒にいて、よく遊んで、一緒に笑って。


樹英と侑菜は喧嘩もほとんどなく、基本平和な方だったと思う。


だけどなっちゃんとはどうしても馬が合わなくて…。


多分、あたしもなっちゃんも思ってることズバッと言っちゃう時があるからなんだろうなって、今になって思う。


昔より今の方がなっちゃんを理解出来てる。一緒にいる時間が長いから。本当に頼れる存在で、大好きだから。


「高校生活なんて、あっという間に終わっちゃうんだね…」


そう呟いたあたしに雅ちゃんとなっちゃんが顔を見合わせた後、雅ちゃんが言った。


「急にどうしたの? 悩み事?」


「ううん、そんなんじゃなくて。ただ、ふと思ったから。」


あたしの言葉に雅ちゃんもなっちゃんも小さく笑った。


「凌ちゃんはたまーに思い詰めた表情するよねー」


なっちゃんの言葉に「えっ」と漏らせば、雅ちゃんに「気付いてない?」と返されてしまう。


「だって、自分のことなんて分かんないもん…」


口を窄めてそう言えば、


「もっと頼ってくれていいんだよ?」


なんて悲しそうな声で雅ちゃんに言われてしまう。


違う……そんなんじゃない…。 あたしは本当にみんなを信頼してる。頼ってるつもりなの。


伝わってないのかな…?


「あたしって、顔に出るのに言葉に出来ないんだね…」


思った事を言える時。


思った事を言えない時。


誰にでもある事なんだろうけど、あたしは"言えない時"の方が多い気がする。


それを周りがあぁしろこうしろなんて言わないから、それに甘えちゃってるのかな…。


もっと、素直に、正直になれたらいいのに…。


思うだけでいつも行動には出来ないんだけど。


……そこもダメなところだ。


はぁ…と盛大な溜息を漏らしまくってるあたしに雅ちゃんが、


「凌ちゃん、自分のダメなとこじゃなくて、良いとこ探さないとダメだよ」


そう言ってくれた。