それが君の願いなら。



まぁ、本当だしね。 隠してるつもりもなかったからいいケド。


あたしは本日何度目か分からない溜め息を先生にお見舞い。


問題と回答を見たあと、タイムを見た。


「安岡さん」


「…はいぃ!」


ボケっとしていた樹英は突然呼ばれ、声を裏返しながら先生に返事。


「今回はタイムも重要なんだけど、あなた達4人は他の班やクラスより少し早いから、好きなの取ってって頂戴」


そう言って景品が置かれている方を指さした。


先生の言葉に再び顔を見合わせるあたし達。


いや、だって…。そんな事ありなの?


あたし以外の3人は本気だと思うし、欲しいものがあるから今すぐにでも景品を取りたいはず…。


だけど、あたしからすればこれは少し不公平な気がするんだけど……。


「梅原〜」


そんな時、あの体育会系オタクの先生に呼ばれあたし。


嫌な予感がするな〜なんて思いながら先生の元へ行く。


「今回の回答書いたの誰だ? 全部同じ字だろ、これ。」


「あ、いやー、あの…。」


「よし、分かった。 お前だな?」


早速バレたあたしはどうでも良くなり、「あっ、ハイ」とだけ答えておく。


「まぁまぁ梅原、まさかお前がオタクだったとはな〜!」


「や、先生ほどでは……」


「いやいや! 俺の問題でこうも満点を取れるヤツはいないだろ!」


……ごめんなさい先生。 どれもすっごく簡単な問題だと思って書きました。


あ、という事は。 あたしの方がオタクと言うことですか?


いいですケド。 オタクでも勉強や運動できればいいもん。 勉強も運動もろくに出来ないけど…。


あたしを見てニヤニヤしながら先生は言う。


「梅原、先生はな、自分のこの趣味を悪いと思ったことはない。 趣味の内容がどんな事であれ何かに夢中になれる事はとてもいい事だ!――と、思うんだが、お前はだうだ?」


先生の言葉は暑苦しいわけでもなく、鬱陶しいわけでもない。


どちらかと言えばとても深くていい事だと思う。


だからあたしも素直に答えるだけ。


「あたしも、そう思います」


そう言うと先生はどこか嬉しそうに笑って、「景品選んで来い」と言った。