それが君の願いなら。



「凌ちゃん!こっち!」


紙を見つけたらしい雅ちゃんに呼ばれ3人で駆け寄るけど。


「あたしが解ける問題かどうか、見てから呼んで?」


まだ問題見てないじゃん。


当の本人は「うへへー」と笑いながらカサカサと紙を開く。


【問題:大人気アニメ"ドラゴンボール"の主人公孫悟空の友達、クリリンの声優は?】


………。


「…やっぱ凌ちゃんでしょ!」


え。ちょっと樹英里さん!?


「いや、あのね、ちょっと待って? なんかさっきから問題おかしくない!?」


あたしの講義が通用するはずもなく。


「凌ちゃんファイトーっ!!」


樹英はあたしにペンを促す。 ……先生も先生でしょ…。もっと他の問題あるよね、絶対。


あたしの予想では数学とか国語の問題が出るものだと思ってたのに。


あ、そうか。分かった。


あたしが常識知らずって事なんですねきっと。


溜め息をつきながらまた答えの隣に【答え:田中真弓】とだけ書いた。


「――…今度先生になんか奢ってもらおう」


あたしの呟きが聞こえたらしいなっちゃんは声を出して笑った。


残りの2枚は順調に見つかったけど、やっぱり問題はあたしの予想より斜め上を行くようなものばかり。


1枚の問題は【こち亀の主人公の名前は?】で、最後の問題は【ONEPIECEのニコ・ロビンの悪魔の実の名前は?】だった。


この4枚の問題を見て分かった事が1つ。


――あの先生は絶対ジャンプが好きだ。


だってどれもこれもジャンプじゃん。絶対毎週コンビニで週刊少年ジャンプ買ってるよね。


そんな考え事をしながら先生たちの待つ場所へ走って戻る。


走る必要はないのかもしれないけど、なっちゃんが念には念をなんて言うから…。


そして係の女の先生に紙を渡すと、一言。


「……あなた達の中にオタクがいるって事で間違いない?」


「「「「………」」」」


あたし達4人は顔を見合わせるしかなかった。


いや、その結論おかしいでしょ?


もっと言えばこの問題を考えた先生側はどうなの?


それこそオタクじゃん!


――叫ぶだけ心で叫んだあたしが「はい」とだけ応えておいた。


あ、これであたし=オタクってなったりするのかな?