それが君の願いなら。



や、だって……。


確かに、なっちゃんが予約出来なかったって言ってすっごく悔しがってたの覚えてるけどさぁ。


ジャニーズに興味のないあたしからすれば"たかが"クリアファイルなんだよね。


……口が滑っても言えないけど。言っちゃったらあたし殺されそうだし。


だけど本当に凄いみたい。あたし以外の3人がキラキラと目を輝かせてるもん。


それぞれの欲しいレアなモノが景品としてあるって事だよね。


「先生たちも必死なんだね…」


あたしの独り言はみんなの歓声に消えていった。


チラッと横を見れば、樹英でさえうずうずしてる様子。


まぁ、樹英の欲しいものはあたしも好きなものだから分からなくもないけど…。


「ね、ねぇ、凌ちゃん…。アレ見た?見た!?」


「見たよー。凄いね。アレ先週出た新作だもんねー。」


さほど興味なさそうに言うあたしに気付かない樹英はそのまま言葉を続けた。


「うん…うん…っ!! どうしよう…!アレ欲しい!」


うんうん。そうだね。


「じゅっちゃんが必死になれば行けるんじゃない? あ、それか、新谷くんに賭けるかどっちかだね〜」


そう言ったあたしに樹英はハッとした様子で、「ちょっと行ってくる!」と小走りで彼氏の元へ行った。


樹英にベタ惚れの新谷くんなら意地でもあの景品取ってきそうだよね…。


だけど、アレって雅ちゃんも好きじゃなかったっけ?


そう思ってたけど、当の本人は。


「やばい! back numberのアルバムある…!」


違う景品に目がいってるみたい。


「back number好きだもんね。雅ちゃん」


「凄い好き! …あれ?でもあのアルバム、明後日発売だと思うんだけど……?」


雅ちゃんの言葉に2人で首を傾げる。


先生どこまで頑張ってんの…?


ってかもしかして、そっちにも知り合いいるとかそんな感じかな?


1人色々な考えを巡らせながら周りを見回した。


みんなそれぞれの欲しいものがあるみたいで本当に嬉しそう。


あたしはやっぱりこれと言って欲しいものはない。


確かに、樹英が欲しいって言ってるゲームも大好きだし、back numberも大好き。


だけど、みんなが欲しいものを手に入れてくれる方がいいもん。


あたしは何だっていいの。余りものには福があるって言うしね。


みんなのやる気メーターを体で感じているところに先生の声が響いた。