あたしの考えてることが分かったかのように雅ちゃんは「好きじゃないよ?」と言った。


「う、えぇ!? や、あたし別に…!」


慌てるあたしを見て、なっちゃんと雅ちゃんは声を出して笑う。


「いやいや!凌ちゃんほど顔に出やすい人そうそういないから!」


……なっちゃんだって樹英だってすぐ顔に出るじゃん…。それに、あたしより侑菜の方が分かり易いもん…。


「雅が年下を好きになると思う〜?」


……思わない、けど、友達と好きな人が被ると困るじゃんか…。


あたしを見てまだ笑う2人に「笑いすぎ!もういいよー」と言うと謝りながら涙を拭く。


涙出るほど笑うような話じゃないんだけど!


落ち着いた様子のなっちゃんが、あたしを見て優しく微笑みながら言った。


「好きなんでしょ?榊くんの事」


その言葉はあたしの過去を知ってるからのものだと分かった。


なっちゃんの優しさに涙が出そうになる。


「うん…。好き……だと思う…。」


俯きながらそう言ったあたしに、なっちゃんも雅ちゃんも微笑んでくれる。


あたしの頭を撫でながら雅ちゃんが言った。


「雅と凌ちゃんは高校からの仲だし、過去に何があったかって言うのは話でしか分かんない。でも、凌ちゃんと仲良くなって話を聞いて、本当に幸せになって欲しいと思ったよ…」


「うん…ありがとう……。」


笑顔を見せると2人も笑顔になる。周りが笑顔になるとあたしも笑顔になる。


それだけの事がこんなに嬉しくて、幸せな事なんだと気付けたのは最近になってから。


侑京くんに出会って少ししか時間は経ってないけど、好きだって感じた。


それだけで幸せな気持ちになれる。


周りに人がいてくれる事が嬉しくて、本当にありがとうって思う。


最近のあたしはきっと侑京くんの事ばかりだと思うのに、樹英もなっちゃんも、雅ちゃんも侑菜もそれを受け止めてくれる。


「なっちゃん、雅ちゃん、ありがとう!」


お礼を言ったあたしを不思議そうに見つめてくる2人に、


「宿泊研修、楽しくなるといいね!」


そう言って笑って見せた。