凌先輩の中に俺がいないとすれば、これから居場所を作っていけばいい。
先輩の中の俺を少しずつ膨らませていけばいい。
それがどけだけ難しいか知らねぇけど、好きだと思うからやるんだ。
自分の出来る精一杯のやり方で先輩を振り向かす。振り向かせてみせる。
例え俺の知らない過去があっても。
俺の知らないヤツがいたとしても。
先輩の中に底知れぬ闇があったとしても。
―――俺は先輩に振り向いて欲しい。
初めて見たどこか幼いあの笑顔も。
友達といると必ず聞き手になるその小さな優しさも。
俺は今じゃ全部全部好きなんだ…。
好きだと気付いてから日は浅いけど、もうそんなのどうでもいいくらい俺の中には凌先輩が溢れてる。
今すぐに伝えたい好きも。
抱き締めたいと思わせる華奢な体も。
いつもどこか悲しげな目も。
……全部全部、好きだと感じる。
「独占欲の、表れか…?」
自嘲地味に笑う俺の独り言は空へと消えていく。
凌先輩。
俺、本気で先輩が好きです。
先輩の中にいる人がどれだけ先輩を好きでも、俺は負ける気がしません。
あぁ、そうか。
「…初めましてだな、俺のこの気持ちは。」
初めまして。
これからどんな事が起きても俺は先輩が好きだ。
周りに冷たいと言われようがどうでもいい。
先輩が隣で笑ってくれる日が来るなら、その日の為に動くまでだ…。
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