それが君の願いなら。



ホントこいつらうるせぇ…。


そう思うけど悪い気がしないのは長年の付き合いだからだろう。


「なぁ、うっちゃん」


「あ?」


成に目をやれば、どこか真剣な顔で俺を見ていた。


いつもふざけてばかりいる成が真剣な表情をしている事に少し焦る俺。


なんだ……?


そう思いながら成の言葉を待つ。


「同じクラスの優奈(ゆな)が凌先輩の従姉妹で、聞いた話だと、先輩は過去になんかあったみたいだぞ」


「過去に…?」


それは虐められてたとか、そんな感じの事か?


そんな俺の予想は一瞬にして崩れ去った。成の次の言葉で。


「凌先輩には大好きな幼なじみがいるらしくて、その人を今でも引き摺ってる部分があるんだってよ」


大好きな、幼なじみ。


その言葉が俺の頭の中でクルクルと回る。


先輩の大好きな幼なじみ。


その人は先輩にとってどれほど大きい存在なんだろうか…。 そんな事考えたって答えなんか出るわけもない。


分かっていながら考えるなんて、俺も相当なバカだな……。


「気ぃ悪くしたらごめん…。でも、うっちゃんが知っといて損じゃない話だろ?」


そう言った成は申し訳なさそうにな顔で俺を見る。


「……あぁ。寧ろ有難いかも。サンキュ」


お礼を言った俺に安心したのか、今まで黙っていた将貴まで口を開き出す。


「……やっぱうっちゃんは凌先輩が好きなんだな!」


嬉しそうに、確信したようにそう言う将貴。


「なんでお前がそんな嬉しそうなわけ?」


「んー……だって、うっちゃんが今まで女子に関心持ったとことか見たことねーもんっ!」


「まぁ、実際興味無いしな」


「「……凌先輩は?」」


ハモって聞いてくる将貴と成に、口角を上げて応えた。


「どう考えても別だろ!」


俺は先輩が好きなんだからな。