それが君の願いなら。



「……ちゃ…!うっ…ん…!」


「んっ…」


将貴の声で目を覚ました俺は壁掛け時計を確認する。


……あれ?もう授業終わった?


「なんか、時間経つの、早い…」


ボーッとする頭でそう呟けば、将貴が笑いながら言う。


「うっちゃんが爆睡すんの珍しいけど、どした?」


そう言って俺の前の席に移動する将貴。


爆睡かぁ…。まぁ普段の俺ならしねぇな。


そんな事を思いながら窓の外に目をやる。


午前中だというのに外は暗く、今にも雨が降りそうだ。


小さくため息をついた俺の前から笑い声が聞こえた。


「朝から黄昏てどうすんだよー!あはは!」


「……将貴、うるせぇ」


俺の声は届かなかったらしく、ずっと笑っている将貴。


「うっちゃーん」


呼ばれた方へ首を動かせば友達の成頼(しげより)が将貴の席に座るとこだった。


「うっちゃんの恋バナ?」


「違う」
「そう」


成の質問に俺と将貴の言葉が重なった。


いや、どう考えてもちげぇよ。 しかも俺は秘密って言ったよな?


そんな意味を込めた視線を将貴に投げ掛けるもバカには聞かないらしい。


成は何が楽しいのか笑いながら言葉を続けた。


「相手はあの凌先輩だろ〜? んー…まぁでも、うっちゃんならイケるって!」


「だよな!俺もそう思ってんだけど、うっちゃんは『秘密ぅ〜』とかってカッコ付けるだけだしよ〜!」


「待て将貴。それ俺の真似?」


「おん!似てただろっ?!」


「や、どう見ても似てねぇ」


「えぇー!?絶対似てんじゃん!!」


騒がしい将貴に呆れた俺は大きなため息をつき、成は一人爆笑中。