+++ side 侑京 +++
――授業が始まり5分もしないうちに隣から声をかけられる。
「うっちゃーん」
「………」
「うっちゃーんっ!」
「……何?」
俺の名前を呼ぶのは幼なじみの三原 将貴(みはら まさき)。
俗に言う腐れ縁ってやつで、昔から一緒にいる。
基本俺は誰にでも冷たいらしいけど、別に嫌ってるわけじゃないし、将貴もそれを分かってくれてる。
でも今は本当に返事すんのもダルい。って言うか面倒臭い。
「うっちゃんが女子に優しいの珍しいなー!」
……バカな将貴はそんなの気にせず話しかけてくる奴だけど。
それになんか楽しんでる感じするし。余計面倒くせぇ…。
「なぁなぁうっちゃん?」
「……何?」
「さっきの梅原凌先輩だよな?」
「……あぁ」
「うっちゃん、凌先輩のこと好きなの?」
「……秘密」
そう言った途端俺の周りに人だかりが出来た。全員女子。 …あ、男子もいた。
「ちょ、侑京くんっ!?」
「先輩好きなの!?」
「ちゃんと応えて!」
「うっちゃん!教えろよ〜!」
「………ウルサい」
不機嫌になっていく俺を見て笑う将貴の脚を蹴る。
当の本人は「弁慶の泣き所…っ!!」とか言いながら痛がってるが、自業自得だって事を思い知れ。
普段は寝たりしない真面目な俺でも流石に今日はうるさ過ぎ。
授業中だと言う事を忘れている周りを遮断するかのように俺は机に突っ伏した。
未だに痛がってる隣の席の将貴に若干謝りながらオヤスミ状態。
「将貴」
「うぅ〜…何だよぉ…」
「この授業終わったら起こして」
「その前に謝ってくんねーの…?」
ショボンとする将貴に謝ると、
「いいようっちゃん!許すよ!」
なんて調子に乗る将貴に腹立ったが俺が悪いからどうしようもない。
そして俺は本当に夢の中に落ちていった。


