それが君の願いなら。



「……あたしは2人と出会えて、好きになって、付き合えて、宇宙一幸せだったよ…」

「俺も……。凌ちゃんが側にいてくれたらもうなんもいらねぇと思える」

「………」

「侑京も、同じように凌ちゃんが好きで幸せだったと思う…」

「……っ…」

「侑京と別れても侑京を大切に思うように、俺たちもずっと凌ちゃんを大切に思ってんだよ」

「……でも…2人には今よりもっともっと幸せになって欲しいの…。 あたしじゃない人と。2人を……莉人くんだけを大切に出来る人と……」

「――俺は凌ちゃん以外のヤツと幸せになれるなんて思ってねえよ」

「ダメだよっ…幸せにならなくちゃいけないんだよ……!」

「なら俺と一生一緒にいてよ」

「……っ………そんな事…言わないでって…っ言ってるのに…!」

「俺の幸せは俺にしか分かんねえじゃん」

「それは…そう……だけど…」

「別れたあの時からずっと……後悔し続けてる…」

「………」

「自分のした事を悔やんで、菜乃花に腹立てても仕方ねえのにイライラしたり……。 2年ぶりに凌ちゃんに会って侑京と付き合ってる事を知った時、人生で一番悔やんだ…っ」

「……あたしだって…莉人くんと別れた事を悔やんでたよ。 侑京に一目惚れしたのだって、莉人くんと似てたからで……付き合ってからもずっと、莉人くんを忘れた事なんてないよっ……」

「っ、じゃあなんで今! …また、俺から離れてくんだよっ……」

「……好きだからっ、離れるしかないんだよ…っ…」

「………」

「侑京が大切だよ…好きだよ……っでも! それ以上に莉人くんが大切で大好きなの…! だから……幸せになって欲しいんだよ…っ!」

「………凌ちゃんはそれで幸せなの…? 俺がいなくて…平気なの……?」

「………平気…。 莉人くんが幸せでいてくれるなら…ずっと笑顔でいてくれるなら……あたしは1人でも生きていける…」

「―――……んな寂しいこと言うなよ…」

「………」

「………なぁ、俺の願いは無視?」

「っ、」

「俺は、凌ちゃんと一生一緒にいたい。 凌ちゃんに側にいて欲しい。 誰より幸せにするなんて簡単じゃねぇし言えねぇけど、俺は凌ちゃんといれば宇宙一幸せでいられる……」

「……っ…」

「凌ちゃんの願いは叶うし、俺も宇宙一幸せ。 ――それじゃダメなの?」

「………莉人くんの未来に、あたしがいる事が嬉しい…っ」

「うん」

「………莉人くんの願い通りになるなら、きっとあたしも宇宙一幸せになれるっ」

「おう」

「でもっ……侑京はっ…? あたしだけ幸せになるなんてっ、出来ない…」

「………お前はホント優しいな…」

「あたしなんかっ……優しくない…。誰も、幸せに出来ないっ…」

「俺も侑京も、幸せだったよ」

「……あたしも…幸せだった…っ」

「―――もし、5年後でも10年後でも凌ちゃんの中に変化があった時。 俺でも侑京でもない誰かとまた惹かれ合った時、凌ちゃんはどうする?」

「……あたしは…もう恋なんてしない………絶対に…」

「……また1人で泣くの?」

「……もう、泣かないよ。今日で最後…」

「泣きたい時は、また俺を利用して」

「っそんな事!」

「利用されてでも……側にいたいんだよ…」

「…っそんなの……莉人くんは幸せじゃないよ……」

「側にいられるんなら、どんな事だってするよ」

「ダメだよ……麻衣ちゃんと恵五くんが怒るよ…。 悠ちゃんが、悲しむよっ……」

「俺の家族なら分かってくれるだろ。 俺がどれだけ凌ちゃんを好きで想ってるか知ってんだし」

「……あたしは、っどんな事があってももう莉人くんといられないから……」

「――俺の幸せも、凌ちゃんの幸せも、終着点は同じはずなのにな……」

「―――……」

「…俺は、側にいられないんだろ……?」

「………ごめんなさい…」

「…俺と、幸せになれねぇんだろ……?」

「………っごめん、なさい…」

「…せめて……会ってたい…」

「…………っ…うぅっ…」

「絶対、凌ちゃんと一緒にいてもなんともないくらいになる。なってみせる。 だからせめて……これからも会いたい…っ…」

「……っうん…」

「……今だけ……っ一瞬だけ…俺の彼女になって…」

「っうん……」

「凌ちゃん……っ好きだ…」

「…っあたしも…ずっとずっと……莉人くんが好きだよ…っ……」

「………愛してる…」

「……っ…あたしもっ、愛してる…」

「………」

「…っ……」

「絶対……幸せんなれっ…」

「………あたしは、」

「頼むからっ、お前だけは絶対…っ幸せんなって……」

「……泣かないで…っずっと、笑ってて……」

「凌ちゃんがどこにいても心から笑ってたら、俺もずっと笑ってられるよ…」

「……じゃあ、莉人くんを思い出して、笑顔でいるね…っ」

「宇宙一の笑顔でいろよ…」

「それが莉人くんの願いなら、もう、大丈夫だよ……」

「凌ちゃん、」

「莉人くん、」

「「愛してる―――」」

「もう泣かない……っ」

「俺も、宇宙一幸せでいるよ」

「「バイバイ」」