学校から帰り、侑菜から送られてきた莉人くんのLINEを追加した。


言いたいことはまだ固まってない。


ただ、あたしは侑京が好きだと言うこと、それだけは明確だった。


どういう風に言えば莉人くんは傷付かない?


なんて言えば――…。


「はぁー……」


盛大な溜め息を着き一呼吸置く。


まずは誕生日のお礼言わないとだよね…。


《莉人くん、侑菜から聞きました。誕生日のメッセージありがとう! 嬉しかった!》


なるべく明るく明るく。 莉人くんが不思議に思わない程度に。


だけどあたしが今から莉人くんに言おうとしてる言葉は決して明るい言葉なんかじゃない。


それを明るく言うほどあたしだってバカじゃないよ。


もう一度考え直した後、まずは莉人くんの返事を待つことにして、リビングに下りた。


なんたって今日は誕生日だからね!


今日くらい、いつもより楽しんだって罰は当たらないと思いたい。


「お母さーん! 今日の夕飯なにっ――」


リビングのドアを開けてビックリ。


そこには莉人くんと別れるまでずっと見てた光景があった。


「お、誕生日おめでと、凌!」
「凌、おめでとう!」
「凌ちゃん、相変わらず小さいね」


口々にそう言うのは恵五くん、麻衣ちゃん、悠ちゃんの3人。


そこに莉人くんが居ればあの頃となんら変わりない。


「凌〜、口開いてんぞ〜?」

「――っえ!?」


驚くあたしは無意識的に口が開いていたらしく、恵五くんに指摘され慌てて口を抑える。


―――……いやいや、待って!


どうして家に麻衣ちゃん達が…?!


あたしの考えを読むように少し大人になった悠ちゃんが口を開く。


「今日凌ちゃん誕生日じゃん」

「……え、そう…だけど…」

「りっくんが、俺の代わりにお祝いして来てって」

「………莉人くん…が…」


そんな言葉聞いたら泣きそうになる。


止めて…止めてよ……。


あたしは莉人くんを傷付けてばっかりなのに…どうしてあたしに優しくするの……。


今更好きだなんて、どうして言ったんだろう…。


莉人くんも侑京も、いつもあたしを一番に考えてくれてるのが分かる。


傷付けることしか出来ないあたしなのに。


そう思うとどうしようとなく悔しくて、悲しくなる。


下唇をぎゅっと噛むあたしに悠ちゃんが無言で近付いて来た。


「―――っ…、」


今中1の悠ちゃんは莉人くんにそっくりで。心なしか声まで似てるように聞こえる。


「……凌ちゃん」

「……っ」


その声で、莉人くんと似てる声で、あたしの名前を呼ばないでよ………。


苦しくなる。侑京に、申し訳なくなる…。


あたしの思ってる事が分かってるみたいに、少し幼い顔した莉人くん似の悠ちゃんが言う。


「りっくんは自分が傷付くより凌ちゃんが傷付く方が嫌だよ」

「……」


分かってる、そう言えなかったのは、今口を開けば泣き崩れてしまうだろうから。