それが君の願いなら。



「俺の彼女は何してても可愛いなーと思って」

「んなっ!」

「ははっ、ほら、そう言う反応とか」

「な、何の仕打ちですかこれは……」

「凌を弄り倒してやろうと言う仕打ちです」

「へ、変態ですか!」

「凌限定ですけどね」


〜〜〜っ!!


何も言えなくなったあたしを見てケラケラと笑う侑京。


あたしは残りのお弁当を口に詰め込む。


なんか変だ。今日の侑京は変。


なにか企んでる気がする…。なんだろう、悪い予感…。


頭を抱えながら考えていると侑京に名前を呼ばれ頭を上げた。


「…ん?」


侑京は「はい」とあたしに四角い箱を差し出してる。


え、何これ…? なんかデジャヴ? 朝にもこんな光景見た気がする……。


悶々とするあたしの頭は本当に容量が悪いみたい。


侑京からのプレゼントを誕生日プレゼントだと思ってしまう。


この箱の形から何かを推測してしまう。


なんて厭らしい女なの、あたし。


ジーッと侑京を見つめるあたしに首を傾げる。


「はい、これ、凌に」

「な、なん…で……」

「なんでって、今日誕生日じゃん」

「そ、そっちじゃなくて…!」

「ん?」

「なんで誕生日、」

「優奈に教えてもらった」


そう言って、どうした、と口を開く侑京。


ビックリしてるんだよ。だけど優奈から聞くのかなって言う想像もしてたから、なんだか複雑で不思議な感じがする。


そう思いながら侑京からの誕生日プレゼントを受け取る。


みんなから貰った時みたいに、丁寧に丁寧に包を開けていく。


パカッと可愛らしい音を立てて開かれた箱の中には想像と同じ物が入っていた。


それを見た瞬間自分の頬に涙が伝うのを感じた。


「う、侑京っ、これ…!」

「誕生日おめでとう、凌。生まれてきてくれて、ありがとう」

「……っ…!」


言葉にならない。嬉しくて。幸せで。


侑京は箱の中のペアリングを一つ取り、泣き続けるあたしの右手を優しく取った。


「ふっ、そんな嬉しかった?」


冗談めかして聞いてくる侑京に思いっきり頷いた。


「うれ、嬉しっ、いよぉ〜!」

「それは良かった。受け取ってもらえなかったらどうしようか悩んでた」

「受け取らないわけっ、ないじゃんっ!」


そう言ったあたしに侑京は本当に優しく、幸せそうに微笑んでくれた。


「今は右手の薬指。でも、俺が18になって凌と一緒になれる時、ちゃんとしたのを左手に送るから」


侑京の言葉に涙は溢れるばかり。あたしは今日1日だけでどけだけ泣かされるんだろう…。


「それまで、待っててくれますか…?」


いつもの凛とした姿と違ってどこか余裕がなさそうな今の侑京。


それが愛しくてクスリと笑う。


こんなのプロポーズだよ、そう言ったあたしに侑京は「予備プロポーズね」と言って微笑んだ。


その言葉に赤面したあたしは何も言えなくなって侑京に抱き着いた。


それがあたしの返事。


「大好き。侑京が好き。幸せにして、」


して下さい。そう言い終わる前に口を塞がれ目を見開く。