でも、そうじが私のこと。兄さまのこと。
先生のこと。すべてを知ってるんだと思ったら。
とっても悲しい気持ちになった。
あれから数日経った今も。ずっと考えていた。
そうじは新撰組だから。ホントは私たちを捕らえなきゃダメなのにそうじは剣術を教えてくれた。
それがわからなくてすごくすごく哀しかった。
ねえ?そうじ。貴方はどんな思いで?
私のことどういう風に見てたの?
「凛月。今、よろしいですか?」
武市、先生。
「はい……先生。御用ですか?」
「僕の部屋に来てください。話があります。」
そう言って部屋へ戻られた先生。
こんな風に先生が自室へ呼んで下さるのは初めてのこと。
だからとても怖くてでも知りたくて。
だから急いで武市先生の部屋へ向かった。
「武市先生っ凛月ですっ」
「急いできたのですね。息が乱れていますよ。」
「こんなの初めてだったから!だからっ」
「お座りなさい。」
私はおずおずと腰を据えた。
「貴方は以蔵くんが何をしているか知っていますか?」
兄様が?そんなのわかんないよ……
だけど兄さまと共にいたい。
死ぬ時が来たのなら共に散っていきたい。
「武市先生……私……」
「いいでしょう。貴方も今後、任務に当たってください。今夜、以蔵と共にここに来なさい。」
武市先生……
「はいっ」
武市先生はすごく悲しい顔をしていた。
お顔が、やるなってしちゃいけないって踏み込んではいけないんだよって言ってた。
だけど、なんとなくわかってた。
今の日本ではしてはいけないこともやらなけれな何も変わらないって。
だから武市先生も以蔵くんも頑張ってるんだよね?
私、知ってたよ?
少し前にね、兄様が血だらけで帰ってきたんだよ?
その時、なんとなくわかったよ。
兄様も武市先生も何も間違ってないんだって。
悪いことだけれど。みんながやらないこと、先生と兄様がかってでてる。
それだけのこと、でしょう?
