「お前、名は?」

「さ、小夜って呼ばれてた……だけんど……ホントの名前は……みな、いろんこと言うてたが」

「名前が無いのか?友は?」

近くに幼い子はいなかったし、近くに誰も住んでいなかった。

たまにくる大人の人たちも沢山いたけど子供は知らない。

目の前にいる子達が初めて見る子供。

「そうか。なら、おれがつけてやる」

え?

「お前は今日から凛月❮リツキ❯。わかったな?」

「り、つき?」

「あぁ。凛月だ。」

なんだか自分はいていいんだって言われてるようでとっても嬉しかった。

その日からいーくんが凛月の道しるべになった。