「いくぞ、おれから離れるなよ!」


いつにも増して緊迫した表情の以蔵さん。

周りには新撰組や幕府の人間がうじゃうじゃいる。

ドゴン!

来島殿の砲撃の音。

ここは…「地獄だ。」

「あぁ。そのために俺たちが成し遂げなければならない。」

それが私たちの意志だ。

「凛!こっちだ!」

グイッ

建物の陰に隠れていると見廻組の役人がいた。

やばいよ…ばれた?

ガシッ

掴まれた手。違和感。

「ひっ!いぞ、むぐっ」

そして、以蔵さんもまた捕らえられてしまった。

「凛月っ凛月をはなせっその子は関係ないっ」

殴られる彼。

何もできない私。守ると誓ったのに。

こんなに無力だなんて。

以蔵さん、行かないでっ

「っふ…いぞ、さ…ううっ」

以蔵さんが見えなくなった頃に私は解放された。

周りはとても静かになって。

世界からも色が失われた。

「あぁ、赦さない…赦さない…この世の全てを呪ってやる」

周りにいる幕府の人間、新撰組員。

手当たり次第に斬った。

周りが屍に囲まれた時。

「凛。やめなさい。以蔵は捕らえられたのです。行きますよ。」

先生も、以蔵さんを見捨てるの?

どうして?

でも、もうこんな世界どうだっていい。

以蔵さんは帰ってこないのでしょう?

「はい。」

だったら私もまた屍。

この色のない世界に価値なんてない。