「凛。久しぶりじゃのぉ!こっちじゃき。」


りょうくんに連れてこられたのは一つの部屋。

この先に来島殿が。

「来島殿。岡田凛月です。お入りしてもよろしいですか?」


「凛か。入れ。」

スー…

「お久しぶりでございます。お身体はいかがでしょうか?」

「そんな話をしに来たわけではなかろう?」

さすが来島殿だ。威圧もすごい。

「来島殿。先の件ですが…」

「わしは行く。仲間が殺され、捕らえられ、黙って見過ごせというのか?」

「ですが、やっていることは我々も同じ。目的は違えど両者とも国の為。我々も幕府側の人間を幾人も斬っております。」

「ほう。そうよのお。だから、黙っておれというのか。」

「いえ、そうではございませぬ。あくまでも感情的になれば向こうの思う壺。冷静になってお考えください。今はまだ好機ではありません。」

険しい顔をする来島殿。

「お主はほんに食えんやつよの。お主の言う通りじゃ。じゃけど、わしはわしのしたいようにさしてもらう。お前らの手は借りん。さらばじゃ。」

来島殿には伝わった?

帰ろうとしている来島殿の周りにはたくさんの仲間が引き止めようと声をかけていた。

「これが来島殿の意志。ご武運を…。」

敬意をもって頭を下げる。

それに気づいてかひらひらと右手を振る来島殿。

これでさよならなんだ。