「兄妹水入らずで楽しめましたか?」
「た、武市先生っ」
目の前にはふわりと微笑む武市先生。
「2人とも帰ってきて早々ですが、任務お願いできますか?」
武市先生から任務を言い渡されるときは大体…人を斬るときだ。
「先生、おれだけではいけないのですか?」
「ダメですね」
意地悪く笑う先生と悔しそうな顔をする以蔵さん。
「大丈夫、だよ?私ね、以蔵さんを守るために強くなったんだよ?任せてください!」
「随分とたくましいんだね、ふふでは夕食後に部屋で待っていますよ。」
そう言って先生は自室に戻っていった。
「バカ野郎。何かって出てんだよ。」
え?どうして?
今のままじゃ日の本はダメになる。
温故知新。古きを温めて新しきを知る。
今の日本は古きを温めることしかできていない。
そのために貢献できるならこの身一つ大したものではない。
そう思ったから以蔵さんも頑張っているんでしょう?
私もそんな以蔵さんを見たから…この使命を抱くことができたんだよ?
「お前には負けたよ。頑張ろうな、相棒。」
コツン。
どうしよう…。
以蔵さんのおでこが私のおでこに…っ
今から戦おうってのにこんな感情っ、いけないよっ
「い、いぞう、さんっ」
「俺、今伝えないといけない気がするから言っていいか?」
「なにをですか?」
「俺、お前を初めて見たとき。すごい汚かったけど凛としたものを感じた。そのときからお前は俺にとって大切だったんだ。それからずっと一緒に過ごしてきたよな?だんだん凛月のこと妹じゃなくて女としてっていうかドキドキしたりするように、なったんだよな。だから、お前には俺以外に触れて欲しくない。俺が死んでも誰も好きになるな。俺以外に触れさせるな。我儘だけど、これが俺の願い、だから。」
そ、んな、こと。
聞けないよ…。
「以蔵は私が守る。誰にも殺させなんてしない。私から以蔵を奪うことは神すらも赦さない。奪うなら取り返す。だから、そんな約束、必要ない。」
「ぷっ。お前、ほんと変わんねーな。俺命なとことか。」
「あたりまえですっ、以蔵さんは私の全てですから…」
私の生きる希望。糧。目標。
全てが以蔵さんだから。
「以蔵さんだって私を見捨てないでくださいよっ」
「どうすっかなー?」
か、からかわれてるっ!
「ひ、ひどいですっ」
「だったら…」
ドンッ
後ろには壁、前には以蔵さん。
「以蔵さ?」
いつもと違って真剣な表情。
「どうして欲しいのか、言えよ。」
色っぽくて心地よくて。
こんな以蔵さん初めて。いつもは優しくて笑顔もカッコよくてとても紳士。
こんな、ことされたらドキドキしちゃうよ…
「わ、わかんない、よっ」
素直じゃない私。
「わかんないんだ?じゃあ、俺がしたいこと、する」
え?
チュッ
不意に重なる私の唇と以蔵さんの唇。
「あっ、え?どうし、え?な、なんでっ?」
「ククッ晩飯食いに行こうぜ。」
そのとき、とっても幸せだった。