「凛月。今日1日何も無いって武市先生が言ってたぜ。一緒に街へ行こう!」

「街へ?!行きますっ」

というわけでやってきた京の町。

「以蔵さん、あっちにいきましょうっ」

「そんなに走んなくても店は逃げねーよー」

そ、そうでした……

「ご、ごめんなさい」

「いいよ。お、これなんかどうだ?」

以蔵さんが手に取ったのは綺麗な青の金魚を彩った簪。

「これ、とても綺麗です」

「おやじ!これ、頼む。」

「へいっ。おや、お嬢さん可愛いからもうひとつおまけしちゃう!どれでも持っていってくんな!」

おじさんの粋なはからいで、もうひとつもらえることになりました。

「えーと、どれにしようかな……」

「これなんかは、どうだ?」

以蔵さんがもう一度選んでくれたのは鈴蘭の花を形どった櫛だった。

「兄ちゃん見る目いいねえ!これは内緒だけど異国から入った貴重な品なんだぜっ」

コソっと教えてくれたおじさん。

そのおじさんの言葉に胸がいたんだ。

昔はそれなりに貿易も盛んで。

なのに今はどうしてダメなの?

将軍様が怖がってるだけ。

泣き虫、腰抜け。

そんな国、今すぐ私がぶっ潰してやる。

グイッ

「行くぞ」

私の考えを知ってか知らずかそんな考えを頭から振り払ってくれた。

おそらく、後者だろう。

「ふふっ」

「なんだよ。」

「いえ、なんでもありません!あそこにあるのはなんですか?」

なんでもないんです。

何でもない幸せなのです。

「団子や、かあ。食ってくか。」

だんご……

「お前、そういえば団子食ったことなかったっけ?」

だんごとは……いかなるものなのでしょうか。