captivate

クリスは目覚めを迎えた刀を腰に納める。


『ふと思ったが…
 何故北なんだ?』


レイヴァルドは一度大きく翼を広げ、また再び翼をたたんでからクリスを見つめた。


『聖地は世界に4つある
 中でも人の眼に触れる
 最も高名な聖地が北にある
 名を…聖ミミル湖神殿
 聖遺跡とも詠われる土地だ』


クリスは視線を龍から離し、一度横に流す。しばしの沈黙の後、もう一度大きな龍を見た。


『成程
 まず聖地を探すよりも
 確定している所から落とす
 …その可能性がある訳か』


腕を組んで納得する剣聖を、レイヴァルドは首を引いて見下ろした。


『如何にも』


『ふむ…』


もう一度考え込むように、滝を見つめるクリス。頭をかいた後、顔を上げて真剣な眼差しを向けた。


『アリス、レオン、アル、姉さん
 ミミルに行こう…
 大賢者、貴方も行かないか』


クリスは龍を見つめる。


その真っ直ぐで、ただ真剣な視線を受ける龍は、クリスに顔を近づける。


『クリス!?貴方…』


クリスのあまりにも唐突な言葉に、クレアも戸惑いの顔を見せながら弟に駆け寄る。


『ふむ…
 我は真実を追う者
 確かにお主と共に歩くのも
 また一興であろう
 …よかろう
 貴殿と契約を結ぶ』