captivate

『クレア…そしてアーツの後継者よ
 …北へ迎え』


『北?』


クリスが怪訝そうな顔で問い掛ける。


『北の共和国領に
 聖地の一つがある』


竜は深く息を吐く。それは水面に波を立て、草木を静かに揺らした。


『使命を果たさないとな』


クリスが左腰の太刀を力強く握る。すると、2本の刀は闇の波動と光の波動に包まれた。


『これは…』


太刀はクリスから離れ、宙に浮かぶ。すると辺り一面を眩しく照らす程に輝いた。


余りの眩しさに、5人は眼を閉じる。


瞼を閉じても判るほどの光の中から、レイヴァルドの声がした。


『剣が真の目覚めを迎えた
 …それが黄昏の力だ、クリスよ』


レイヴァルドが語り終えると、光は収縮し、刀はクリスの眼の前に静止した。


『その刀の名は
 “氷影<ヒエイ>”
 “流閃<リュウセン>”
 代々、黄昏の名を継ぐ者が
 持つ神の剣だ』


まだ何が起きたのか判らない様な表情のまま、手を伸ばして刀を握った。


『氷影と…流閃』


クリスが刀を握りしめている顔を見て、アリスも自分の刀の目覚めを思い出し、自然と笑顔になる。


『…北に行こう!』


今ならどんな困難にも勝てる気がする…!


アリスはもう一人の後継者を見て、そんな気持ちを抱きながら北への進路を促した。