captivate

『ロック無しでも
 なんとか移動出来たな』


操縦桿を握りながらレオンが言う。


北大陸の外れに位置する極東の島・バーニア列島。


ニルヴァーナは列島中心の大森林上空を飛んでいた。


『あそこの滝の近くに停めて』


クレアの指差す先に、孤を描くように大河が途切れ、巨大な滝を成していた。


世界有数の大滝、パルテシオンの滝。


クレアの指示に従ってレオンがその滝の近くに飛空挺を停めた。


『着陸成功だ』


レオンが飛空挺を安定位置に留めて、操縦席を立った。


そしてハッチを開き、クリスのパーティーは外に出た。


クレアは外に出ると、滝壺に歩き出した。


『姉さん!』


クリスは心配しながらクレアを呼ぶ。それでもクレアは水面を歩き続けた。


よく見ると、クレアの足元は氷の道が存在していた。


それを見たクリスは安堵の息を漏らす。


滝壺の中心でクレアが祈る様に手を組む。


すると、クレアを中心とした周囲に氷柱がそびえ立った。


『クレアか…』


声が滝壺に響く。


『久しぶりですレイヴァルド様』


突然滝が割れ、巨大な竜が姿を表した。