クレア・ヴァンガードはニルヴァーナの前にいた。


日頃の色気のある格好に変わりは無かったが、いつもとは違い、強い意志の篭った眼をしていた。


クリスはアリス、レオン、アルと一緒に姉の近くに行く。


『や!
 ルーシャから話は聞いてるよ』


『道案内頼むよ、姉さん』


『はいは〜い』


『クリス…レナは?』


アリスが質問する。


『本部の諜報部に配属された』


レオンが煙草に火を点けながら答える。


『北の共和国から彼女に
 異動令が出されたそうですよ』


アルが付け加える。


『そーゆー訳だ
 …ニルヴァーナに乗ろう』


クリスはそう言ってニルヴァーナに乗り込んだ。


アリスとレオンが先に入ると、アルとクレアが外で視線を合わせて立ち止まった。


『…一度闇に呑まれました』


『…知ってるわ
 姉さんと心の闇がざわめくのを
 感じたのよ…』


クレアが俯く。


『ですが…彼は強い
 闇を従えましたよ』


『…あの子は強いんじゃない
 強く見せてるのよ』


『…』


『あの子はね
 誰よりも闇を恐れているの
 多分闘いの中で闇の力を使うわ
 でも…使いこなせないと思う』


『…私そっくりですね』


アルが自嘲気味に笑う。


『そうね…
 レイナード・アルフォンス=ヨーツンヘイム』


クレアは微笑みながらハッチを昇った。