『…』


アリス・グレイシアは暖かい陽射しを感じて眼を開いた。


空の見える発着ベイに停まったニルヴァーナの休憩所には誰もいない。


ベッドから起きてニルヴァーナを一通り見たあと、アリスは船から出た。


『ヨーツンヘイム…』


呟きながら深呼吸すると、澄んだ空気がアリスに安らぎを与える。


『起きたましたか』


『アルフォンスさん』


『アルで構いませんよ
 クリスが心配してますよ?』


アルが読みかけの本を閉じて、アリスと向き合った。


『どうぞこちらです』


アリスを塔の中にエスコートする。


塔の入口には警備兵が槍を携えて2人立っていた。


『何処へ行くの?』


そう言うと、塔に入ってすぐの扉の前に立ち止まった。


『ここですよ』


アルが扉を開けると、円卓の中にクリスが立っている。


『ようこそ、霧の王国へ
 神光の剣聖…アリス・グレイシア』


気品ある言葉と高貴な姿。


初対面でもアリスはすぐに気付き、頭を下げた。


『ルーシャ様…』


『事の経緯は全て聞きました
 マスター・アーツの力を貸して下さい』


女王は隣に立つ騎士に眼をやると、騎士は口を開いた。