差し延べた右手の先に、アリスの少し驚いた顔がある。


『それって…』


クリスが説明しようと口を開きかけると、屋敷からロックが出てきた。


『クリス!!!連絡が入った!!!
 レグレス大陸に帝国が侵攻!!
 オーダーも召集令がかかった!!』


『…戻るぞ
 ニルヴァーナ発進準備
 全員を呼べ』


『もうみんな揃いましたよ』


『先に乗り込む』


アルとレオンを先頭に、全員がニルヴァーナ目指して走る。


ロキニスが扉の前に立っていた。


『クリス、アリス
 早く行きなさい』


『マスター?でも…』


『私は行く宛がある…大丈夫だよ
 今までよく護ってくれた
 …アリス
 お前は“神光の剣聖”を
 …クリス
 お前は“黄昏の剣聖”を
 名乗りなさい』


『…はい』


二人は頭を下げる。


『これから戦火が広がるだろう
 それを防ぐ為には双天弐刀流…
 即ちマスター・アーツが必要になる
 決して己に負ける事無き様に
 闘いなさい』


最後に二人はもう一度頭を下げて、エンジンが唸り始めた飛空挺へと走った。