目が覚めた後、クリスは休憩所のバーカウンターで紅茶を口にしながら雑誌を読んだり、報告書に目を通しながら朝を迎えた。


時折、シンディアやラナ、シュバルツの様子を見ながら額の冷たいタオルの取り替えをやっていたが、もう落ち着いてきたようで、深い眠りについている。


『早いね』


後ろから声がした。


『レナ』


『やっ』


寝起きがいいのか、もう完全に目が覚めている様だ。


『コーヒー、紅茶があるけど』


『あ…ティスタニア・アールグレイある?』


ティスタニア・アールグレイは世界でも有名な紅茶の種類だ。


『あるよ…ほれ』


たまたまクリスも飲んでいたものなので、近くのティーポットから紅茶をいれる。


『ありがとう
 まだ着かないかな?』


温かい紅茶を冷ましながらレナが話かける。


『この海越えたら共和国だな』


手元にある報告書にペンを走らせながら話すクリス。報告書は3枚目に達していた様だ。


報告書を書く大変さ諜報部所属の彼女自身がよくわかっている。


<邪魔しちゃ悪いな>


そう思って大人しく紅茶を飲むことにした。