captivate

「くっ…ハハハハハ!!」


殺気の嵐の中で、いきなり皇帝が笑い出す。


「何が可笑しい…!」


「堂々と言え…だと?我が堂々と言った後で、貴様はその仲間と今までと同じ様に接する事が出来るのか?」


「何…?」


クリスが顔をしかめる。


「貴様は感じている筈!心の奥底に潜む闇を!」


「…だから何だ」


うんざりしながらクリスが言う。


「まだとぼけるのか、ヴァンガード…!ルグラン皇帝の血統よ!」


「!!?」


仲間の驚きの視線が一気に集まり、謁見の間に静寂が訪れる。対する帝国側の人間は、帝国兵も含めて動じていなかった。


「更に貴様は今、我が帝国の伝説…ディクセン・アズカルド=ルグランの霊体を身体に封じてるな…?」


皇帝はその指をクリスに向けた。


「ク…クリス?」


ロックが動揺の声を漏らす。


「それがどうした」


クリスはその中で、皇帝に反抗の姿勢を見せ続ける。それでも皇帝は話続けた。


「ヴァンガード…お前がいるべきはそこでない。魔女2名と引き替えに、貴様はここに残れ。それが条件だ」


「な…!!」


即座に5人の頭の中を、とある仮説が過ぎった。


あの祭の日、敵将軍がルグランに呼び出した理由とは、全てこの為だったのか、と…。