帝国皇帝の住む城は少し薄暗く、広大な廊下と沢山の扉があった。
廊下を少し進めば進むほど、新しい銅像が見えてくる。一つ一つに数字が刻まれているのを見ると、どうやら歴代の皇帝の銅像らしい。
「すご…」
その異様な光景にシュバルツが感嘆の息を漏らした。
「此処は“頂(いただき)の大回廊”。偉大なる歴代皇帝陛下の方々を称えた銅像だ」
皆、周囲の銅像に気を取られながら進む中で、クリスだけが前を見据えていた。
「興味はおありでないか?ヴァンガードの一族よ」
「そんなことはありません。国に歴史有り…ですね」
自らの視線をいちいち監視されているようで、クリスは気持ち悪い感覚に苛まれる。それに構わず、帝国軍人は話を続けた。
「右手を見て頂きたい」
先を歩く軍人が立ち止まり、腰の後ろで手を組みながら右を向いた。
「かつての世界大戦当時の皇帝陛下である」
「…!」
「な…!?」
「…これは」
「…え?」
クリス以外の4人が、その銅像の顔立ちを前に、呆然と立ち尽くす。
それもその筈。
銅像に刻まれた顔立ちは、クリス・ヴァンガードそのものだった。
「名はディクセン・アズカルド=ルグランⅣ世。今では戦犯扱いとされた皇帝だが、我が国では軍神とまで言われた、伝説的な皇帝である」
再びクリスに視線が向けられた。そのしつこい視線に不愉快さを感じる。
「伝説的とは言えど、過去の過ちは2度と繰り返してはならないな」
クリスは精一杯の皮肉を込めて軍人の顔を見た。対する男は、にやりと笑みを浮かべ、また歩きだした。
廊下を少し進めば進むほど、新しい銅像が見えてくる。一つ一つに数字が刻まれているのを見ると、どうやら歴代の皇帝の銅像らしい。
「すご…」
その異様な光景にシュバルツが感嘆の息を漏らした。
「此処は“頂(いただき)の大回廊”。偉大なる歴代皇帝陛下の方々を称えた銅像だ」
皆、周囲の銅像に気を取られながら進む中で、クリスだけが前を見据えていた。
「興味はおありでないか?ヴァンガードの一族よ」
「そんなことはありません。国に歴史有り…ですね」
自らの視線をいちいち監視されているようで、クリスは気持ち悪い感覚に苛まれる。それに構わず、帝国軍人は話を続けた。
「右手を見て頂きたい」
先を歩く軍人が立ち止まり、腰の後ろで手を組みながら右を向いた。
「かつての世界大戦当時の皇帝陛下である」
「…!」
「な…!?」
「…これは」
「…え?」
クリス以外の4人が、その銅像の顔立ちを前に、呆然と立ち尽くす。
それもその筈。
銅像に刻まれた顔立ちは、クリス・ヴァンガードそのものだった。
「名はディクセン・アズカルド=ルグランⅣ世。今では戦犯扱いとされた皇帝だが、我が国では軍神とまで言われた、伝説的な皇帝である」
再びクリスに視線が向けられた。そのしつこい視線に不愉快さを感じる。
「伝説的とは言えど、過去の過ちは2度と繰り返してはならないな」
クリスは精一杯の皮肉を込めて軍人の顔を見た。対する男は、にやりと笑みを浮かべ、また歩きだした。

