captivate

着陸ベイに止めたニルヴァーナから出ると、軍服を着た男がクリス達を迎えた。


その中から、腰で手を組んだ上官らしい男が一歩前に出た。


「ようこそルグランへ。君達の訪問は我が軍のジェン・リンド将軍より伝えられていた。諸君らの入国を心より歓迎する」


男は険しい顔をして降りてきたクリス達を迎えた。


ジェンという名を聞いたクリスは少し苛立ちを覚えたが、今回の任務は交渉が第一なので、必死で笑顔を浮かべるように努力してみた。


「ヨーツンヘイム王国ガーデン騎士団第7部隊所属、クリス・ヴァンガードです。貴君らの歓迎、感謝します」


そう自己紹介をして手を差し出した。


「君がヴァンガードの末裔か」


険しい顔が更に険しくなり、意味深に呟きながらクリスと握手をする。


「来たまえ。我等が主君が君達を待っている。案内しよう」


そういうと男がきびすを返し、兵士が作る道の真ん中を歩いていった。


「クリス、有名だねぇ」


ロックが茶化す。


「どーだか」


クリスはそれを適当にあしらった。


しかし、あの男がヴァンガードの名に反応したのが少し気にかかる。


―――もしかして…俺の家系を知っているのか?


「クリス?行こうよ」


シュバルツがクリスのジャケットの袖を引き、クリスは現実に意識を戻した。


顔を上げた先でレオン達は既に先を歩いている。


「あぁ…行こう」


―――ヴァンガードの名前は、帝国の方がよく知られているのかもしれない。


そう思いながらクリスはシュバルツと一緒に、先に歩く仲間を追い掛けた。