captivate

コクピットに入る途中の通路の窓から大都市が見えた。


どうやら帝都に着いたらしい。


「ルグレア大陸最大都市…帝都シンディスタン…」


「起こしてきたよ!」


そう呟き、外を見て立ち止まってる内に、シュバルツが先にコクピットに入る。中にはレオンとロック、そしてアルが前方の光景を真っすぐ見据えていた。


「クリス、見ろよ。なんだかVIP扱いだぜ?城に着陸せよ、だと」


「…なんでまた」


今までの交渉の任務で国のトップとの交渉で、一発で通された試しはなかった。


「知らん!とにかく前を見な。帝国空軍だ」


ロックに促されて正面を見ると、目前に大戦艦がある。


帝国の誇る最大級の飛空挺にして、最強の移動要塞とされる帝国空軍艦隊旗艦リヴァイアサンと、それを囲む数々の中型輸送機、小型爆撃挺が空を駆ける。


「大層なお出迎えの様で」


寝起きの頭をかきながらクリスが言う。


「とりあえず、だ。指示に従おう…レオン?」


促されたレオンは副操縦席から振り返ってクリスを見る。


「入国目的なら、もう話した」


「さすが元交渉人」


「元“諜報員”だ」


そう言うレオンだが、彼がいると交渉の任務はいつも楽になる。


「さてと。じゃ、行きますか」


「あいよっ」


ロックは頷いて戦艦との通信を始め、誘導されるままに着陸ベイにニルヴァーナを移動させた。