王宮クリスタルパレス。


建国から遥か時を越え、悠然とそびえ立つ宮殿の門にはローブを纏った少年が立っていた。


「クリス!遅いよ!」


シュバルツ・レイ。13歳にして騎士団最強クラスの防御術を体得している、要の存在。


「お、悪いな。あいつらは?」


シュバルツの姿を見て少し小走りになり、クリスは彼と合流した。


「来てるよ。クリスが遅いから先に行くって」


「わ…悪いな」


子供の言葉は真っすぐ過ぎるな、クリスはそう思いながら微笑んだ。


2人が話していると、王宮内から男が歩いて来る。


「来たか」


レオン・リーフィア。彼は元他国の諜報機関に在籍していたエリートで、とある国の内乱の際、連合軍として内乱鎮圧に介入した時にクリスと出会った。


それ以降、クリスと共に活動している、部隊の副隊長とも言える存在だが、そんな彼も、昨日最前線で戦ったせいか、疲れの色が見えた。


「じゃあ行こう、クリス。陛下がお待ちだ」


レオンは昔から愛用しているコートの襟を直し、王宮へと身体を向けた。


「レオン、クリス遅刻したよ?」


「そうだな。後で飯でも御馳走になろうか」


「それじゃ足りないよ」


シュバルツの文句を聞き、レオンはクリスをチラ見する。


「わかった。それで手を打つよ」


そして、むすっとしながらクリスが呟いた。