captivate

王都ミストラル王宮クリスタルパレス。


クリスは人ごみの中を颯爽と駆け抜け、一般立入禁止区域に近付く。


しかし当たり前の様に警備がいた。


「クリス・ヴァンガードか?どうした?」


「陛下の下に遣いが来なかったか?魔術教会からだ」


「あぁ…来たが、まだ戻って来ないな」


その言葉に焦りを覚えたクリスは、警備していた騎士の隣を駆け抜けた。



「お…おい、止まれ!」


そこにいた二人の騎士は、名のある騎士だったが、その二人の言葉に耳を傾ける事なくクリスは駆ける。


「お…おい!」


「ヴァンガード!隊士規則に反するぞ?」


…構わないさ!!


そう気持ちを込めて走り抜ける。


目の前には謁見の間の扉。
この先に各国のVIPがいるはず。


だが、この先からは生気を感じられなかった。


一秒も遅れたらマズイ。


謁見の間は宮殿内でも有名な大扉で仕切られているため、大人数でなければ開くことはない。


ましてやクリスは追われている身。


「…しばらく給料無し、か」


そう呟くと左腰の2本の太刀に手を掛けた。