刀がクリスを捕らえる瞬間、男の腕が止まる。


『…これは』


クリスを守る、空間に展開された4枚重ねの障壁に、漆黒の刀が弾かれる。そして無数の槍が男を捕らえて閉じ込めた。


森から颯爽と5人の影が出てくる。


『…邪魔をするな』


男の顔は苛立ちを露にし、殺気を放った。


『これ以上好きに
 させる気はないわ』


太刀2本を構えてアリス・グレイシアが剣先を男に向ける。


槍に囲まれたまま男はアリスを見て怒りを込めて口を開いた。


『その太刀と波動が
 ゼアノスを彷彿とさせる
 …目障りだ、女ぁ』


殺気の突風が吹き荒れる。アリスの髪が後ろになびき、その殺気の強さがハッキリと伝わる。しかしアリスは物怖じせずに、その冷たい視線を向けて言葉を発する。


『ゼアノス・ヴァンガードが怖いの?
 なら貴方は私に勝てないわ』


男の冷たい眼に炎が宿る…その炎は漆黒に塗られた、底の知れない炎だった。


『消してやる!!!』


男がレオンの槍による包囲陣を破壊し、標的をアリスに向けた。


『みんな、ゴメン』


アリスがそれを見て謝る。


『いや、いいタンカ切ったぜ』


ゼフィが指をバキボキ鳴らせながら戦闘体勢に入る。


『スッキリしたぞ』


ネクタイを緩め、にやつくのはレオンだ。


『ふふふ、貴女も
 クリスに似てますね』


アルはリラックスしているのか、微笑みを浮かべている。


『いいから早く
 クリス助けようよ!』


シュバルツが皆に言葉をかけた。