captivate

議会場には大きな円卓があり、それを13人の議員が囲う。


権威の円卓は十天のソレとは異なり、裏には政治家特有の腹黒さの様な物が滲み出ていた。


『レドミア連合評議会の皆様
 初に御目にかかります
 連合軍諜報部所属
 レオン・リーフィアです』


レオンが仲間から数歩前に出て頭を下げる。それにしてもレオンが諜報部に在籍しているという話は実際始めて聞いた。


『遠路遥々ようこそ
 リーフィア調査官
 今日はこんな偏狭にある
 弓状列島通商連合に何か』


レオンと丁度向かい合う温厚そうな老人が左手をレオンに向けて質問する。


『は
 先日ルグラン帝国が全世界に
 宣戦布告を行いました
 ご存知我々は連合軍を設立
 帝国の世界制圧に対抗すべく
 現在、世界各地で防衛戦を
 展開しております』


それからつらつらとレオンは連合の状態を説明する。よく此処まで綺麗にまとまった言葉を話せるもんだ、とクリスは感心しているとレオンの話は確信に迫った様だ。


『要点から申し上げれば
 レドミア連合の皆様には
 我々連合軍のバックアップに
 回って欲しいのです』


議会が沈黙する。


それもそうだろう。いきなり此処に来て手を貸せ、しかもクリスが居る連合に、だ。


3年前の事を脳裏に思い浮かべながら未だに引きずっている老人達の顔を見ると、無性に虫の居所が悪くなった。


『見返りはあるのか』


葉巻を吸う白髪の太った老人が言う。まぁ正論だな、とクリスは溜息をつく。実際悪い言い方をすれば通商連合を動かす一番の動機は所詮“金”だ。エスヴィアと経済的に対立する為に造り上げられた組織の考えなど、最終的にはそこに行き着く。


レオンはそれなりに説得に応じているが、こりゃ難しそうだ。


そう思っていると、一人の若手議員が拍手をし始めた。