captivate

評議会の議場からニルヴァーナを停めるエアポートは近かった。


空に浮かぶ、議会御用達の議会専用飛行型エアポートは、言ってみれば厚手の鉄板が浮かんでいる様な物で、その上には儀仗兵が数名立っていた。


『連合遊撃部隊“紅の空”
 クリス・ヴァンガードです』


儀仗兵の中に立つ男に左手を差し出した。


『評議会がお待ちです』


男はクリスの握手を受け入れず、振り返ってエアリムジンに乗り込む。


『…ホラ見ろ』


クリスが拗ねた様にレオンを見た。レオンの隣ではゼフィが腹を抱え、涙を流して笑っていた。


『まぁ仕方ないさ
 ニコライを捕らえたことで
 ここは大恐慌に陥った
 その原因はお前だからな』


レオンは煙草を携帯灰皿に入れて、クリスを慰めた。


『行きましょう』


アルはエアリムジンへの移動を促す。


『不快指数最大値だ』


クリスは半分キレた顔で空に浮かぶ乗り物に足を運んだ。


クリスのつまらなそうな顔を見ながら、アリスが笑う。


『?』


その視線に気付いたクリスがアリスに向かい、首を傾げた。


『なんでもない』


修業時代から自分のやったコトに後からケチつけられた時、クリスはしばらくつまらない顔をする。


久しぶりにそんなクリスを目にして、アリスは少し嬉しかった。